また画像と関係のない話。
広島の繁華街、紙屋町から少し北のところには広島城を中心として県庁、中国放送、グリーンアリーナ、NTT、現代美術館といった公的施設が数多くあるのですが、その北西らへん、太田川(旧だっけ?)沿いにあるのが基町高層アパートという20階建てくらいのでっかい団地である。
もともとここは原爆スラムの街だった(夕凪の街 桜の国みたいな)。それを一掃し、そこにいた人を住まわせたのが基町団地である。実際行ってみると普通の団地の部分も結構あるのだが、19号棟~21号棟、それに長寿園の数棟はものすごい大きさで圧倒される。それだけ原爆スラムには人がいたわけですね。
とにかくここも戦後建築によくあるメタボリズム思想に基づいており、かなりゆとりのある有機的な設計になっている。ほとんどの部分において中廊下は2階に一つづつしかないため、一見メゾネットの住居なのか? と思わせるが、奇数階は偶数階から階段を使ってアクセスする構造であり、中廊下型と階段室型のハイブリッドである。ところで将来的にはメゾネットに改造できる造りだったというところも、有機的な感じである。区画に対して斜めに立っているので、一つの直方体「コア」(これがいかにもメタボリズムな用語だ)がいくつも連結し、屏風のようなギザギザの建物が完成する。高島平の壁のような建物も圧巻だが、普段の見栄え的にはアクセントの多いこっちのほうがきれいかな?
ここも例に漏れず過疎化、老朽化が進んでいるが、それでも全体的な空気は十分新鮮である。肝心のショッピングセンターと屋上庭園がボロボロなことだけは引っかかったが…(だって、お隣にマルナカあるしね)
ところでココらへん、すぐ南には広い公園が広がっており、すぐ近くの地下道はグリーンアリーナ、基町クレドを通って紙屋町や本通りまで抜けることができ非常にゆったりとした整備がなされている。もちろん、これも原爆スラムの整理事業でぽっかり出来た用地なわけで、理想的な空間ではあるが経緯を考えるとなんというか、手放しに持て囃すのも複雑ですね…